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「旅人だぁ?荷物もねぇ武器もねぇ。そんな無防備な身なりで何処を旅してんだっつぅんだ?」
「いやぁ、行き当たりばったりな旅してっからさぁ。それに荷物とか持つのダルいじゃん?だからいつも飢え死にしそうなんだよねぇ…だから少し飯を分けt「助けにきてくれたのね!?」……くれ…」
言い終わる前に左から声が介入してきて一同がそちらを向く。その犯人は先程の少女で嬉々とした表情をしていた。
「お父様が派遣して下さったギルドの方なのでしょう!?」
……………貴様は何をいっているんだ?
「旅人が丸腰で魔物がでるっつぅのに平然とここまでこれる訳ねぇ……魔導師か?」
そう夜族の一人が言うと全員がそれぞれ武器を構えだして白い男の前方を囲い、ジリジリとニジリ寄ってくる。それを見た男は顔を盛大にしかめながら手を顔の前で振る。
「まてやオイ。違うからね?俺一言もギルドとか言ってないからね?ただ単に飯が欲しいだけだからね?」
「はっ!この期に及んでまだシラを切るたぁ随分な余裕を見せてくれんじゃねぇかよ」
ギルドとは言わば賞金稼ぎが組織する所で、王族から平民まで幅広い者達からの依頼をこなし賃金を得る所である。
しかし、ギルド側にもランクや質を気にかける必要があるために一定の実力がなければ加入できない。だから必然とギルドには強者が集う事となる。
「オイオイ話し聞こうぜ?違うっていってんじゃん?アレか?貴様らは馬鹿なのか?馬鹿だよな?馬鹿に違いねぇ。この馬鹿が」
話の通じない相手と空腹により段々と苛ついて来たのか、白髪の男の言葉が徐々に荒れてくる。
「馬鹿はどっちだ餓鬼が。この人数相手にテメェ一人が叶うわけねぇだろうが!」
夜族の頭と思われる長身の大男が斧を振り回し、それを地面に叩きつけ地面を軽く割り砕いた。
しかしそんなことは気にもせず、先程の言葉で苛つきに拍車がかかったのかより一層白髪の男の顔が険しくなり。
「あぁ?群れなきゃ何もできねぇ小物が粋がってんじゃねぇぞゴルァ!」
もはや賊にしか見えない男の言葉にしびれを切らした大男は、その大斧を軽々と振りかぶり
「……上等だ餓鬼。綺麗に頭飛ばしてやるぜ!」
そのまま全力で白い男の頭を目掛けて振り下ろした。
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