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俺こと赤嶺俊祐(あかみね しゅんすけ)がこの水島(みずしま)高校に入学して早くも一年以上が過ぎた。
俺はつい1ヶ月前に二年生に進級した。
今のところ、高校生活はそこそこ楽しめてはいるが、ひとつだけ心のどこかで引っかかっている問題がある。
「なーんであんな風になれるんだろ……」
俺はそう小さく呟いてため息をひとつ吐いた。
俺の視線の先には、体育館の壇上で校長から賞状を渡されるひとりの女子生徒がいた。
「今日は私の為に集会を開いていただき、ありがとうございます! ここで、少し恥ずかしいけど、今回入賞した作文を読みます」
女子生徒は自分の書いた作文を読み上げた。
彼女の名は、新庄奏(しんじょう かなで)。
うちの学校の生徒会長だ。
容姿端麗、文武両道、成績優秀の完璧超人だ。
俺のひとつ上の先輩で、誰からも好かれるまさに人間の鑑とも言うべき人物だと思う。
今は、作文で最優秀賞を受賞したとかで、こうやって表彰式を行っている。
俺はその様子を見ながら、ずっと新庄奏について考えていた。
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