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松村をほんの少しでも信用しようとしてしまった自分の人を見る目を若干心配しつつ、俺は松村に向かってこれでもかと睨み付ける。
すると、松村は突然肩を組んできて、口を開く。
「まぁそう恐い顔すんなよ。 大丈夫だよ、俺に任しとけって!! 俺がお前のキューピッドになってやるからよ!!」
キューピッド? お前が?
ありえねっ!!
とか思いつつも俺は松村の手助けにかなり期待しているので口にはしなかった。
それよりも、気になるのが……。
「なぁ松村。 さっき俺が新庄奏を好きになるのは意外とか言ってたが、どの辺が意外なんだ?」
「だってさ、お前年上はあんまりとか言ってただろ?」
「昔の話だよ」
「じゃあ、お前は新庄奏のどこが好きなんだよ?」
松村は俺に真剣な眼差しで聞いてきた。
シリアスムードなので、松村もからかって来ないだろうし、ここは真剣に答えよう。
「最初はさ、新庄奏の完璧さに俺はただすごいなと思ってた。
あんなに完璧な人間なんて見たことなかったし、ああいう人が会長に向いてるんだろうなとか、とにかく、会長としての新庄奏を俺は尊敬してたんだ。
でも、ついこの前気付いたんだ。
俺は新庄奏に恋をしてるって……」
話し終えて、俺は松村の方を見た。
松村はニタニタしながら、
「やっぱり新庄奏のこと好きなんだな?」
と言ってきた。
…………シリアスな空気に騙された……。
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