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そして、放課後……。
俺は松村に連れられ、会議室前の廊下に身を潜めていた。
ちなみに、この廊下を曲がるとすぐに生徒会室がある。
松村は俺に見張りをさせている。
「おい俊祐ー、会長が来たら、言えよ~」
松村は俺の後ろでケータイをいじっている。
緊張しないのか、こいつは。
俺なんか心臓が破裂しそうなほど心拍数が上がってるっていうのに……こいつときたら、余裕の表情で女とメールしてやがる。
忌々しい、実に忌々しい。
俺が松村に対し、何らかのいたずらでもして会長が来るまでの間の暇つぶしでもしようかと考え始めたその時、フワリといい香りが漂ってきた。
来た!!
生徒会長、新庄奏だ。
俺は咄嗟に松村の肩を叩いた。
そして、小声で話す。
「おい、来たぞ! 会長が、新庄奏が来たぞ!!」
「おー、来たかー」
相変わらず、ケータイをいじる松村。
どうしてこいつはこんなにも落ち着いてられるんだ?
そして、新庄奏がついに廊下を曲がろうかという時、松村は小声で俺にこう言った。
「じゃ、がんばれよ」
そう言うと松村は、俺の背中を押して逆方向に走り去った。
俺はなす術なく前に倒れる。
柔らかい感触が顔中に広がり、同時に「きゃあ」という声が耳に届いた。
顔を上げ、立ち上がろうとすると、そこには顔を真っ赤に染めた新庄奏がいた。
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