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その事に気付いた時には、オレは再び闇にのみ込まれる――
何もない恐怖……
一度死を経験したオレは、自分がまだ死んでいる事に気付いたのだった
オレと言う存在は……オレの中にないのだから……
「ははは……なんだよこれ……」
脚の先から徐々に恐怖と言う名の闇に蝕まれていく――
「最悪だ……」
どうにも抗えない恐怖に身を浸食されていく中、オレはふと顔を押さえていた手を放した
「はは……なんだあれ」
オレの視界の先には真実を映す世界があった――
白い壁に埋め込まれた四角い世界
その世界には、ベッドの上で体を震わせている1人の男がいた――
そう、オレだ……
その四角の世界に映るオレの姿は――右目を覆うほどの長くヨレヨレな頭髪、顔にかぶさる指の隙間から垣間見える生気の感じられない黒い瞳……そして、骨が浮き出てきそうなほどやつれた手
精神と同様にオレの体も闇に蝕まれているかの如く……弱り切っていた
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