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「もう少し我慢してね……こうするしかないのよ」
痛みが断続的に続く中、さっきの声が耳元で囁く……
止めてくれ――
オレはただただ心の中でそう叫んでいた
そして……激痛との格闘も終わり、オレは目を覚ました
「はぁ……はぁ……はぁ……」
鼓膜に聞こえる自分の荒い息
そして胸が上下するたびに肌に擦れる布の感触
目を開けて飛び込んできた白い部屋と長い髪を左側に纏め、細いフレームの眼鏡を掛けた女性がオレの顔を覗きこむ光景――
激痛を乗り越えてオレは……
頬に一筋の涙が流れたのを感じた
痛みがオレに与えたのは悲しみじゃない
痛みを味わう事でオレは……
生きている事を悟った
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