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むか~し、昔。
いえ、別に昔ではございませんね。
ここは、とある町外れの広い丘。
見渡しが良く、気持ちのいい草原が広がっています。
この丘にあるものといったら、中央にある大きな木ぐらい。
どこか神秘的な雰囲気でその木はたっているのです。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
あら? 女の子が一人、町の方から駆けてきましたね。
ずーっと草原を走って、大木の木陰に入ると息を整え始めました。
「……ッハーハーハー。んもう、やっと逃げてこれた! ヴァイオリンのお稽古なんてやってられないものね」
そう言うと、彼女は大木の根本に座り込みました。
「此処、涼しくて良い場所ね。ふぅ、もうこんな生活いやや! 寝る! お休み」
――おやおや、どうやら寝てしまったようですね。
「グォ~グォ~」
……け、決して可愛いとは言えない寝息をたてて寝ているこの少女。
彼女の名前はアリス。
ピンクのワンピース姿。
――ん? あらら~走ってきたからか汗の染みが……汚い汚い。
彼女、どこかのお嬢様で色々なお稽古に追われる毎日が嫌になって逃げ出して来たようですね。
アリスといえば、不思議の国のアリスを皆さん思い浮かべますよね。
可愛いですよね、あのアリス。
でも、このアリス。
もうブサイクのなんの!
ビジュアルは下の下。
ああ、こんな残念なアリスは今頃どんな夢を見ているのやら……。
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