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グラスの氷が、音をたてたのがきっかけになった。
「まゆかの父親はね…………まゆかの命の代価のように消えてしまったの。」
「命の代価………????」
「真由佳が生まれた日、あの人は………まゆかをその手に抱きたくて、会社帰りを急いでいたの。
…………非情なものよね、楽しみにしていた我が子を抱きに病院の玄関に着いた矢先………
――…緊急車両………に………」
「すまない、嫌な事を思い出させて…………」
グラスの氷はすっかり溶けてしまっている。
いつの間にか、食べ終わっていた真由佳と夏穂ちゃんは、紙に落書きをしながら待っていた。
「………ごめん、まゆか~~~~。ついつい話こんじゃったぁ~~~~。」
真由佳を抱き上げ、プニプニする。
「なっちゃんと話してたからいいよぉ。」
「そぉだよ、まゆかちゃんと話してたから、いいを。」
子供にまで気を使わしちゃって………
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