道化師の記憶の断片

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 いつかの記憶。  いつの記憶だったろうか。【まだ】人間だった頃の、懐かしい、起きている間は絶対に思い出せない記憶。  広がるのは朱色の空に石造りの町並み。空の向こうは青みがかり、遠くで薄く幾千もの星が瞬いていた。そんな風景。  そこで。 そうだ、ここだ。 ここで、私は――。  朱色の空が反転する。石造りの建物がグルグルと回る。  それはまるで道化のための夢――。
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