たとえ徒夢だとわかっていても

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「あのさ、」 授業中、後ろから話し掛けられる。 この声は聞き慣れた声。 「何よ」 「これ、安西さんに渡しといてくれよ」 小さな手紙。 「何これ」 「アドレス書いた紙に決まってんだろ」 決まってねぇよ、と心でつっこむ。 「自分で渡せ、ヘタレ」 悪態を吐いて、前に向き直る。 後ろで何だよ、とか一人でブツブツ言ってる。 いい加減に気づけよ、鈍感。 あたしは、あんたが好きなんだよ。 たとえ徒夢だとわかっていても ほんの少しの可能性も信じてしまう。
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