遭遇

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「…火事…ですか!?」 「申し訳ない!!」 「今朝の事でして 今、同じ条件の物件を 探していまして…」 「いやぁ… それは仕方ないとして 寝具や家電が備え付けと聞いてたんで 簡単な着替えぐらいしか 持って来てないんですよ… とりあえず 今日から 寝る場所が無いとなると…」 「それ…なんですが もう 取り壊す寸前の アパートで良ければ あるんです けど… 寝具はあります ただ、家電の方は… もちろん、次の物件が見つかるまでの 仮住まいとして ご迷惑をおかけしていますので 家賃の方も8000円で」 「そこしか無いんでしょ」 「はい、今は…」 「それじゃ、そこでいいですよ」 「ありがとうございます 物件が見つかり次第 すぐに連絡しますんで これが、アパートの 鍵と簡単ですが場所の地図です」 まぁ仕方無い…か 仕事は明後日からだし 荷物はこのアパートの 住所に送ってもらおう 明日には着くはずだ… コンビニは結構遠いんだな… 通り道だ 明日の朝の分も買って行くか 地図ではここだけど… なるほど… ボロい… 鍵には【2】の文字 2号室か… その2号室の前で 女の子が倒れてる 「どうしたの?大丈夫?」 グゥウゥゥゥ… 「はぁ…い!」 腹の虫が先に返事をした あぁ うん だいたいの 状況は呑み込めた… 「何処に住んでるの? 家は?」 「…ど…こ……?…」 駄目だ!! まず飲み物で糖分を摂らないと たしか 買った物の中に オレンジジュースがあった 「これ、飲める?」 口を開けるのがやっとだ 彼女を抱き抱え まるで 赤ちゃんにミルクを飲ませるように 少しずつ飲ませた 意識がハッキリしてきたようだ グゥウゥゥゥ 「かたじけなく存じます」 腹の虫も一緒に礼を言った そして弁当を見つめたまま… 「ここじゃ なんだから 僕の部屋でたべる?」 「た、食べてもいいので ありんすか?」 …?さっきから変な言葉 使ってるな 部屋の鍵をあけて荷物を入れる 「入らないの?」 「入りたいのはヤマヤマなれど…」 動けないのか… 仕方無いので お姫様抱っこで入れる 目の前に弁当をだす 「どうぞ」 「馳走になりもうす」 彼女は急いで食べだした
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