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ジリリリリリリ……。 部屋の中を目覚まし時計のやかましく大きな音が鳴り響く。 その部屋は6畳ほどで、この目覚まし時計は、この部屋には無駄と思えるほど大きな音で鳴っていた。 この目覚まし時計の音に一本の腕が伸びる。 その腕により目覚まし時計は止められて、再び部屋は静寂に包まれた。 しかし代わりに部屋の主である青年は動きだす。 怪訝な表情をしながら目を覚まし、ふと疑問に思う。 (何なんだ彼女は……) 数日前に彼女をみてから、毎日夢にでてくる。 「彼女は天使……だよな」 小さく呟いてみる。 その呟きはこの静かな部屋に響きわたる。 しかしその音はすぐに飲み込まれ静寂を取り戻す。 天使だからこのように夢に何度もでてくるのだろうか。 夢をみることさえ少ないはずなのにこう何度も夢にでてこられると、そう思うことしかできなかった。 (…やべっ!) いつもより23秒も遅れていた。 連日の夢について考えていたせいだろう。 これもあの夢のせいだ、と八つ当たりまがいの言葉を吐きつつ服を着替え始めた。 素早く着替え、最後に漆黒の髪と同じ黒いローブを身に纏い、急いで部屋をでた。 素早く着替えたつもりだったが、23秒の遅れは取り戻すことはできなかった。 部屋をでて、すぐのところにあるリビングの食卓に父は座っていた。 父はこちらを向き、すぐさま短く言葉を放つ。 「17秒遅いぞ」 「……すみませんでした」 こう言われるという予想はついていたのですぐに返答をした。
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