第一章

4/12

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
 それは唐突な出来事だった。壁の文字が光った。近くの壁だけではない。道のすべての文字が光ったのだ。  瞬間、彼女の顔面は蒼白になった。  「司令部!こちら光。アラヤの発生を確認!至急救助されたし!」  光が携帯に叫んでいる。  『こちらも確認している。22秒後にMr.Lightningを送る』  「Mr.Lightning?でも誰が?」  『となりにいるだろう』  「そんな……」  『緊急の処置だ。了解したまえ』  「……了解」  光がこちらに向き直る。  「ごめんなさい」  ごめん?さっきから何なんだ?  突如洞窟に獣の唸り声の様なものが響いた。何だ野良犬か?  「急いで!」  「あ……ああ」  俺達は走った。  〇  ようやく、入り口にたどり着いたぜ。結構な距離突っ走った気がする。  洞窟の入り口を登る。鏡ヶ岳だ。  突如彼女の手が光った。光った後の彼女の手にはブレスレットの様なものが握られていた。  「な、な、な、なんだそれ!?」  「急いで、時間が無いの。これをつけて」  「これをぉ!?」  瞬間、岩が砕けるような音が響いた。俺達の近くからだ!  「つけて!」  俺はごついブレスレットを右手につける。  ビキビキ、と言う音と共に地面が砕け何かが飛び出す。  ――――異形。それはバッタに似ていた。  「指を鳴らして!」  『Get set』  パチン、と、辺りに指を鳴らした音が響き渡る。  俺の右手――――ブレスレット――――から光が溢れ、俺を包んだ。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加