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それは唐突な出来事だった。壁の文字が光った。近くの壁だけではない。道のすべての文字が光ったのだ。
瞬間、彼女の顔面は蒼白になった。
「司令部!こちら光。アラヤの発生を確認!至急救助されたし!」
光が携帯に叫んでいる。
『こちらも確認している。22秒後にMr.Lightningを送る』
「Mr.Lightning?でも誰が?」
『となりにいるだろう』
「そんな……」
『緊急の処置だ。了解したまえ』
「……了解」
光がこちらに向き直る。
「ごめんなさい」
ごめん?さっきから何なんだ?
突如洞窟に獣の唸り声の様なものが響いた。何だ野良犬か?
「急いで!」
「あ……ああ」
俺達は走った。
〇
ようやく、入り口にたどり着いたぜ。結構な距離突っ走った気がする。
洞窟の入り口を登る。鏡ヶ岳だ。
突如彼女の手が光った。光った後の彼女の手にはブレスレットの様なものが握られていた。
「な、な、な、なんだそれ!?」
「急いで、時間が無いの。これをつけて」
「これをぉ!?」
瞬間、岩が砕けるような音が響いた。俺達の近くからだ!
「つけて!」
俺はごついブレスレットを右手につける。
ビキビキ、と言う音と共に地面が砕け何かが飛び出す。
――――異形。それはバッタに似ていた。
「指を鳴らして!」
『Get set』
パチン、と、辺りに指を鳴らした音が響き渡る。
俺の右手――――ブレスレット――――から光が溢れ、俺を包んだ。
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