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(うひゃ~…直らなんっ)
鏡に向かって、俺は朝から寝癖と格闘していた。
水で濡らしても、ドライヤーでやっても、どうも端のハネが気になる。
(この…クセ者が!)
ムキになって、くしでとかしても…容易に直るものじゃない。髪の質も、本人に似たか!?
「平(ヘイ)く~ん?早くご飯食べないと、学校に遅れちゃうよ?」
1階から、心配する声が聞こえる。
「今、行く!」
気が付けば、出掛ける時間になっていた。
俺は寝癖を諦めて、部屋を後にする。
1階のキッチンに行くと、少し長めの髪を1つに束ね、朝食の支度をしている俺のイトコ・源仲麻呂の姿があった。通称・源(ゲン)ちゃんと呼んでいる。
その源ちゃんの髪は…銀色っぽいような…日に当たるとキラキラ光って、パールっぽく見える色をしている。おばあちゃんがイギリス人で、隔世遺伝で髪の色に出たらしい。
俺の髪も、隔世遺伝してくれたらよかったのに…。
俺の髪は、一般の黒よりも少し茶色っぽいくらいで…。クセがつくと、なかなか言うことを聞いてくれない。
源ちゃんの髪が羨ましい。
「おはよう、源ちゃん」
「おはよう。もう7時50分だけど、大丈夫?」
「ちょっとヤバいかも…。あっ、この牛乳、もらうよ」
テーブルに置いてあった、牛乳入りの牛乳を手に取り、口に持っていくと…
「あ…それは…!」
と、慌てた様子で源ちゃんが振り返るが…。
源ちゃんの言葉を聞く前に、すでに口にしていた。
そして、数秒後…。
「ブー…!」
それを口から吐きだしていた…!
白い霧状のものが、テーブルの上に一気に広がった。
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