事の始まり

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 朝の牛乳サイダー事件で気分が浮かないまま、我がクラス・1年B組へ入ると…。  突然、目の前に細身の人物が立ちはだかった。 「委員長、おはようございます!」  縁なしのメガネをかけたその人物は、腰を45度に曲げて…キラッと目を光らせた。 「おおぅ、何だお前は!?」  突然の待遇に、俺は思わず後退りする。  それでも尚、目を光らせながら、その人物は熱く語りだす。 「挨拶は礼儀です。それがきちんとできないと、立派な人物にはなれません。これは、父からの教えです。委員長、おわかりですか?挨拶というものはですねぇ…」 「はいはい、わかりましたよ!おはようございます、副委員長の佐藤くん」  これ以上、熱弁されても困るし…朝のイライラが募る一方だ。  とりあえず、挨拶をしておくことにする。  そして俺は、自分の席へと向かう。  律義なその人物は、一生懸命、俺の後を追っかけてくる。 「委員長…僕の名前…いまだに覚えてくれてないんですね…。入学してから、何ヵ月も経つのに…。僕の名前、長月健っていうんですよ。ちゃんと覚えてくださいね…?」 「へいへい」  実は、適当に呼んでみた。  この明星学院に入学してから、どういうわけか…彼…長月は、俺の周りをウロウロしている。  俺は仲良くなったつもりはないけど…相手は友達気分でいるらしい。  席に着いてホッとしているところに、アイツは、まだ俺のそばにいて…。  ニコニコしながら、こう言ったんだ。 「ねぇねぇ、若丸クン。僕がホモだったら、どうします?」 「……………は?」
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