1人が本棚に入れています
本棚に追加
朝の牛乳サイダー事件で気分が浮かないまま、我がクラス・1年B組へ入ると…。
突然、目の前に細身の人物が立ちはだかった。
「委員長、おはようございます!」
縁なしのメガネをかけたその人物は、腰を45度に曲げて…キラッと目を光らせた。
「おおぅ、何だお前は!?」
突然の待遇に、俺は思わず後退りする。
それでも尚、目を光らせながら、その人物は熱く語りだす。
「挨拶は礼儀です。それがきちんとできないと、立派な人物にはなれません。これは、父からの教えです。委員長、おわかりですか?挨拶というものはですねぇ…」
「はいはい、わかりましたよ!おはようございます、副委員長の佐藤くん」
これ以上、熱弁されても困るし…朝のイライラが募る一方だ。
とりあえず、挨拶をしておくことにする。
そして俺は、自分の席へと向かう。
律義なその人物は、一生懸命、俺の後を追っかけてくる。
「委員長…僕の名前…いまだに覚えてくれてないんですね…。入学してから、何ヵ月も経つのに…。僕の名前、長月健っていうんですよ。ちゃんと覚えてくださいね…?」
「へいへい」
実は、適当に呼んでみた。
この明星学院に入学してから、どういうわけか…彼…長月は、俺の周りをウロウロしている。
俺は仲良くなったつもりはないけど…相手は友達気分でいるらしい。
席に着いてホッとしているところに、アイツは、まだ俺のそばにいて…。
ニコニコしながら、こう言ったんだ。
「ねぇねぇ、若丸クン。僕がホモだったら、どうします?」
「……………は?」
最初のコメントを投稿しよう!