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昼食。
チャイムが鳴ると同時に、生徒の大群が、一気に食道や購買部に押し寄せる。
「若丸、何か買えたか?」
モミクチャにされながら、なんとか昼食をゲットした俺は…ため息混じりに廊下に出ると…背後から、声を掛けてくる人物がいた。
振り返ればそこには、中肉中背で(どちらかというと細身)端正な顔立ちをしている人物…師走成也(シワス・ナリヤ)が立っていた。師走は小さい頃から近所に住んでいて、親友であり幼馴染みであり…クラスも一緒の腐れ縁だ。
そんなわけで(?)つるんでることも多い。
「おぉ、師走。今日は大収入でなぁ~。人気の焼きそばパンを2つ、カレーパンを3つゲットだ!」
「スゲ~ッ。オレなんか、サンドイッチとポテトフライだけだぜ…」
師走は、手に持っていた紙袋をぶら下げながら、残念そうに呟く。
「師走、俺のカレーパン、1つやろうか?」
「おっ、気前いいねぇ!さすがオレの親友、若丸だっ」
「お代は150円いただきます♪」
「ゲッ…金、取んの?」
「あったり前じゃん!」
苦労して取った代物だ。ただでは渡せん。
師走が『参った、参った…』と頭をかいていると…。
廊下の隅っこから、勢いよく走ってくる人物が見えた。手には、何やら大きな包みを抱えて…!?
「若丸ク~ン!僕の心がこもったお弁当、食べて♪」
そう…彼こそは、手作り弁当を持ってやってきた…あの長月である。
長月は目をランランに輝かせながら、狂った闘牛のように………
一直線に、俺たちのほうへ突進してくる。
俺と師走が、それぞれ廊下の端によけると…長月はそのまま…突進していってしまった…
「……………。今のうちに逃げようぜ」
師走の言葉に、俺は大きく頷くと…その場をソソクサと立ち去るのだった…。
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