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「彼……拓海くん。突然、引っ越ししちゃって。私の初恋はおしまい!」
「えっ?えぇ?引っ越し?」
「はい。ご両親が離婚されたそうです……ずいぶん後になって聞いたのですが」
美月は、伏し目がちにお茶を啜る。
「でも……素敵な私の初恋です。こうやって目を閉じると、拓海くんの優しい笑顔が今でも」
グズッ。
グズン。
グズングズン。
「……初恋は淡い。叶えさせてあげたかった。美月くんの……美月くんの初恋……グズッ」
秘書ロボットが、社長の傍にやってくる。
「う、うん。わかっているとも。最近、涙脆くなった……幸せすぎるからだ」
エアリーと社長は、二人の新しい時間を紡いでいる。
石黒は……。
涙を拭いてあげている美月の横顔を見ていた。
リラックスしている時の美月はよく笑う。
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