本質

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「桜さん、おはようございます!」 爽やかな笑顔と元気な声で、今日も素敵な眼鏡姿の桜に挨拶をする翼 「……おはよ。」 素っ気なく返された返事であっても、翼にすれば至極の一時だった。 何故なら… 「可愛いなぁ、相変わらず桜さんは。大好きです!」 翼が彼女、桜を溺愛しているから。 椅子に座る桜を後ろからぎゅうと抱き締めると、手の甲を捻りあげるようにつままれた。 「いだだだ!」 「毎朝毎朝鬱陶しい。」 「酷いなぁ、愛情表現じゃないですかー。」 赤くなった手の甲をさすりながら拗ねた風に抗議したが、桜は冷たい視線を向けたままだった。 「翼にされても嬉しくないのよ。」 「ひど!じゃー男ならいいんですか?!」 ふぅ… 桜は呆れたようにため息をつき、資料を渡す為に近付いてきた後輩の麻也の手を引き、そのまま抱き締めた。
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