キアラ&リオナ

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「なっ!?リオナの魔力が五つに別れてる!?」 魔力感知をしたキアラが言った通り、リオナの魔力は五つに別れていた。 だが詳しく言えば、魔力が別れたのではなく、リオナ自身が分身したのだ。そして分身したリオナ達は、砂煙の中に居るキアラを囲むように周りを包囲していた。 「形勢逆転ですね!それじゃ行きますよ!」 リオナ達はそう言うとキアラに向かって走り出した。 そして砂煙の中へと飛び込みキアラを切り裂いた。 「これで私の勝ちです!って……あれ!?何で居ないんですか!?確かに切り裂いた感触はあった筈なのに…」 砂煙が消えそこにはキアラの姿など無く、その場に立ち竦むリオナの姿しかなかった。 「分身する魔法を使えるのはリオナだけじゃないんだよ!」 不意に声が聞こえ、本体も含むリオナ達は声がする方を見た。 だが何故かリオナ達は全員違う方向を見た。 何故全員違う方向を見たのか。 その理由は次のリオナの言葉で判明する。 「何故貴女が私達全員を囲むようにしてそこにがいるのですか?キアラ」 何故かキアラは分身をしており、しかも明らかにリオナ達を大きく上回る数が周りを囲んでいた。 「分身を使ったからだわ」 「分身を使った、ですか?」 「そう。でも私は分身を囮として使ったの」 「確かにそれなら納得できます。ですがいつから分身と入れ替わってたのですか?」 「貴女が初級魔法で砂煙を作って目眩ましをした時だわ。確かに目眩ましになるかもしれないけど、逆に外からは私の姿は確認できない筈だから、それを利用させて貰ったのよ」 「流石キアラですね…私の敗けです…」 リオナは静かに言ったが、表情は明らかに落ち込んでおり、しかも声のトーンも下がっており、敗けたという悔しさが滲み出ていた。
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