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今日は恋人たちが集うクリスマス。街は恋人たちで溢れ、雪は空を飾る。
今年は念願のホワイトクリスマス。でもあなたは隣にいない。早く来すぎたのかな?もうかれこれ三十分は雪の舞う街に一人でいる。
「後十分かぁ。寒い」
かじかんだ手に温かい息をかける。あの人と手を繋いだ時にちゃんと温もりを感じられるように。
突然誰かの温もりに包まれた。優しい柑橘系の香りと頬をくすぐる茶色い猫っ毛は、あたしの大好きな人。
「千歳、来るの早すぎ。俺が格好つかないじゃん」
猫っ毛の彼は困ったように笑う。待ち合わせ時間の十分も前に来てくれただけで嬉しい。
「早く海里に会いたかったの。海里のこと考えたらじっとしてられなくて……」
猫っ毛の彼、海里は優しく笑う。あたしと同じ目線まで屈んで子どもに言い聞かせるように言う。
「先に待っててくれるのは嬉しいけど、何かあったら遅いんだよ?だからこれからはギリギリにきてね」
何かあったら遅い
それは忍び寄る運命によって無理矢理形にされ、突きつけられた。
幸せに永遠はないのだろうか?
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