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「それでは、データの移し替えをしますので少々お待ち下さい」
覚醒したてのぼやけた目で辺りを見回すと、三人の人が僕を取り囲んでいた。一人は先の台詞を言ったショップの店員。一人はその店員の話を熱心に聞く女性――この人がきっと僕のマスター。
そして、もう一人……
唇をキュッとひき締め、目を閉じたまま静かに涙を流すMFがいた。
俺と同じ赤色の髪だけど、彼女のそれはどちらかと言うとワインレッドに近い。腰あたりまであるウェーブヘアの所為か、どことなく高貴な雰囲気をまとっている。
ぼーっとその横顔を見つめていると、ふと彼女が目を開いた。そしてこちらを見る。
一瞬見開かれた大きな目が吊り上がった……刺すような、それでいて羨むような視線が僕を貫いた。
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