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ご機嫌な様子で歩くマスターの後ろを、僕と彼女は並んで歩いていた。気まずい沈黙。ちらりと見た横顔に表情はまるで見られなかった。
『あ、あのっ』
沈黙に耐え切れずに声を掛けると、彼女は勢いよくこちらを向いた。
その様はまさに、全霊で僕を責めているようだった。
――ようだった?違う。その表情からは他の可能性なんて、微塵も感じられなかった。
だからこれは確定事項だ、彼女は僕を責めていた。
『何?』
『いや、その……』
強い語気に圧され、また黙り込んでしまった。二人の間にだけ気まずい沈黙が流れる。
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