希望と絶望の始まり

2/3
前へ
/7ページ
次へ
  ご機嫌な様子で歩くマスターの後ろを、僕と彼女は並んで歩いていた。気まずい沈黙。ちらりと見た横顔に表情はまるで見られなかった。 『あ、あのっ』 沈黙に耐え切れずに声を掛けると、彼女は勢いよくこちらを向いた。 その様はまさに、全霊で僕を責めているようだった。 ――ようだった?違う。その表情からは他の可能性なんて、微塵も感じられなかった。 だからこれは確定事項だ、彼女は僕を責めていた。 『何?』 『いや、その……』 強い語気に圧され、また黙り込んでしまった。二人の間にだけ気まずい沈黙が流れる。  
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加