2人の天才

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大石雄太郎はいつものルーティーンでバットを三回まわし、左足のかかとでリズムを取り始める。 ルーティーンとはスポーツ選手が多用するアクション前の決まりきった動作だ。 打席でのイチローストレッチが最も有名だろう。 大石勇太郎の耳には5万人を越える観衆の声が聞こえないほどに集中しきっている。 点差は1対0で大阪ミラーズが勝っているが、先頭打者がつまりながらもヒットを打つと二番打者が送りバントを決める。三番打者凡退の後の東京ネッツ4番で主砲の大石にチャンスがまわってきたのだ。
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