友紀と光司(1)

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タイミングよく扉を開いてしまった雄太は、腹を抱えてうずくまっていた。 友紀はサァと全身の血の気が引いていくのがわかった。 「…遊んでないで、ちゃんと仕事してね?」 雄太は腹を押さえてそう言うと、中へは入らずに扉を閉めてしまった。 ほんの数秒、友紀は思考が停止していたが、思い出したように慌てて扉を開いて雄太の後を追う。 「せせ、先輩!ゴメンなさい!ほ、保健室…!」 「大丈夫。気にしないで」 雄太はニコッと笑って振り返り、手を伸ばして友紀を拒絶した。 友紀は雄太の手のひらが、優しい言葉とは逆に、近寄るな、と言っているようで深追いできなかった。 「あ~ぁ。やっちまったな」 後ろで光司が他人事のように言う。 「…誰のせいだとっ!」 友紀は少し潤んだ瞳で光司をキツく睨んだ。 「はぁ?元はと言えばお前がサボってたからで…」 光司が反論をすると、友紀はだんだんとうつむいてフルフルと肩が震え出した。 「お、おい、友紀?泣いてんのか?」 恐る恐る、光司が友紀に詰め寄る。
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