15人が本棚に入れています
本棚に追加
タイミングよく扉を開いてしまった雄太は、腹を抱えてうずくまっていた。
友紀はサァと全身の血の気が引いていくのがわかった。
「…遊んでないで、ちゃんと仕事してね?」
雄太は腹を押さえてそう言うと、中へは入らずに扉を閉めてしまった。
ほんの数秒、友紀は思考が停止していたが、思い出したように慌てて扉を開いて雄太の後を追う。
「せせ、先輩!ゴメンなさい!ほ、保健室…!」
「大丈夫。気にしないで」
雄太はニコッと笑って振り返り、手を伸ばして友紀を拒絶した。
友紀は雄太の手のひらが、優しい言葉とは逆に、近寄るな、と言っているようで深追いできなかった。
「あ~ぁ。やっちまったな」
後ろで光司が他人事のように言う。
「…誰のせいだとっ!」
友紀は少し潤んだ瞳で光司をキツく睨んだ。
「はぁ?元はと言えばお前がサボってたからで…」
光司が反論をすると、友紀はだんだんとうつむいてフルフルと肩が震え出した。
「お、おい、友紀?泣いてんのか?」
恐る恐る、光司が友紀に詰め寄る。
最初のコメントを投稿しよう!