第三章 決意を胸に

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家に戻ると、黄色いエプロンを着ているアリシアが椅子に座ってこっちを見据えていた。 「ほれ、アリシア。これで自慢の料理の腕を振るってくれい!」 「分かりました」 アリシアはじいちゃんからリベルムを受け取って、調理場に向かってった。 俺はさっき言われた通り、明日に向けて体を休ませておくことに専念しよう。じいちゃんの厚意を無駄にしないように。 「アリシアの料理……楽しみだな」 ボソッと呟いたのが聞こえたのかは分からないが、アリシアと目が合った。だが、すぐに視線を逸らされた。 顔が紅かったような気がしたが、うん、気のせいだろう。 「じいちゃん、本を読んでも良い?」 「ああ、構わないぞ」 よし、承諾されたし、本を読んで少しでも教養を深めよう。 俺は本棚に沢山あった本の中から、魔術に関することが書かれていそうな本を取り出して、椅子に座ってそれを読んでみた。 ……うーん、数ページ読んでみたけど、原理は分かるが、何と言うか、実際に出来るかと問われたら出来ないと答えるしかないな、これは。 どうにも使う時の感覚が想像出来ない。……まぁ、明日からの修行に期待するか。 ──
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