1018人が本棚に入れています
本棚に追加
──
そんなに時間は経っていないだろうが、この本を半分まで読み終えた。かなり集中していたから時間感覚が鈍っている。
「ふぁ……ん?」
欠伸を一つ洩らすと、何処からか視線を感じる。何やら前のほいから……って、アリシアか。
「どうした、アリシア? 俺の顔に何か付いてるか?」
「別に……物凄く集中してたから、眺めてただけ」
「そっか……っておかしいよな。別に集中してたからって眺めるか?」
「駄目……?」
そんな潤ませた上にその上目遣いは反則だろ……。ここで拒否したら泣いちゃいそうだな。
「いや、別に問題ないけど……」
それしか答える術がなかった。単純にこの子を悲しませたくなかったからだ。
「うん」
素っ気なく返事をすると、またしても俺を見つめ始めた。
俺はその視線を非常に気にしながら本に目を移した。
「……」
「……」
……駄目だ、物凄くアリシアの視線が気になる。気になりすぎて本に集中出来ない……。
最初のコメントを投稿しよう!