第三章 決意を胸に

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「あのさ……いつまでそうして見つめているんだ……? 気になって読書に集中出来ないんだが……」 どうにか文字を読んではいくが、興味深いものを見るようなアリシアの視線に耐えられない。 気にしないようと考えるが、気にしてしまう……。 「夕方になるまで……?」 いや、俺に聞かれても答えようがないんだが……。 何故ここまで俺を観察するような視線で見てくるのかを考えてみるとするか。 ……多分、純粋にじいちゃん以外の人間が珍しいのかもしれないな。それと俺の人間性について。 「そういえばじいちゃんは?」 この視線に耐えかねた俺は、本を閉じてアリシアに目線を合わせて尋ねた。 「この時間だと、森林浴に行ってる。毎日の日課だから」 「ああ、そうなのか。森林浴か。体に良さそうではあるな」 「うん」 何気なく、他愛もない会話を俺から持ち掛けておきながら、これ以上会話は続けられなかった。 主にアリシアが素っ気ない返事しかしないからなんだが……。 さて……何をしようかな。 アリシアの視線に耐えながら読書はもう無理だからな。 ……本当に何をしようか?
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