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その後、佐藤君は話を変えて、相変わらずの話上手で、私を笑わせたり、驚かせたり、佐藤君と話していると、飽きることがなく、落ち込んでいることを忘れられた。
その晩、アオイちゃんと一緒に合コンへ向かう前、お化粧を直しにデパートのトイレに寄る。
入念にお化粧をするアオイちゃんの隣で、私は
敦史を「忘れろ」とばかり言われると、愚痴ではないけど話していた。
「でもさ~、人に忘れろーって言われて、忘れられるもんじゃないよねー」
「……」
「いいじゃない、想うのは自由だし! 無理して忘れることないんじゃない?」
鏡越しにあっけらかんと言ったアオイちゃんの言葉に、私の目から涙がこぼれ落ちる。
「カヨちゃーん、泣かない泣かない! せっかくのお化粧が台無しー」
私はティッシュで叩くように涙を拭った。みんなが「忘れろ」という……でも、忘れられずにいた。
『無理に忘れなくていい――』
その一言がずっと欲しかったんだ……。
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