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沢山泣いたけれど、ずっと会いたかった敦史に会えて、聞こえてなくても、素直な想いを吐き出せて、心は軽くなり、晴れやかな位だった。
その二日後、陽介さんが東京へ戻る前夜に、一緒に夕飯を食べに行く。
「今日は飲む」
と気合いの入った陽介さんとオシャレな居酒屋に入る。
「引越し無事に済んだんですか?」
「うん。全部お任せでやってもらったよ。だから、今日はホテル泊まり」
陽介さんはジョッキのビールを口に運んだ。
「寂しくなっちゃいますね」
「東京おいで。卒業したらね」
「できれば……」
「俺は加世子ちゃんが来ると思ってるよ。決まったら、住む所も探してあげるよ」
「エヘヘ、ありがたいなぁ……私、ずっと陽介さんに頼りっぱなしですね」
「フフ、頼られて悪い気しないよ。俺ね、情に訴えられると結構弱くてね」
「フフフ」
いつものように、楽しい時間を過ごした後、陽介さんの泊まるホテルのバーで飲みなおすことになった。
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