9.肌と肌

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 夏休み前のある日、父母の知人の訃報が届き、二人揃って泊まりで仙台へ行くことになった。  私一人を置いていくのを母親は酷く心配したけど、 「殆ど学校だし、一人になるのは夜だけでしょ? 私 それにマンタもいるから大丈夫」  と答えた。その話しを敦史にする。 「それって、誘ってる?」  屋上で髪をなびかせながら敦史が聞く。 「ちがうよ!」 「えー加世、夜一人じゃ危ないよー」 「大丈夫、マンタが居るもん」 「マンタは犬じゃん。守ってもらえないよー」 「知らない人には吠えて飛び掛かるから大丈夫」 「……」  敦史は打つ手無しという表情だ。 「ーーじゃあ……期末テストの勉強しにくる?」 「行く行く!」  満面の笑みで頷いた。
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