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もう帰るだけの夜の電車で、敦史は手を繋ぎ私に寄り掛かる。
「帰ったら、学校に入学金払うの加世付き合ってよ」
「うん……」
敦史は微笑むと、目を閉じ、しばらくして寝息をたてはじめた。私は心地良い疲れを感じながら、車窓に映る姿をぼんやりと眺める。
『コイがアイに変わるんだ』
敦史の言葉が頭に浮かぶ。
『もっと深くもっと好きになる』
好き過ぎて、敦史になってしまいたいとさえ思う
私は目を閉じ、敦史と頭を寄せ合ったーー。
この時、私は心から幸せに満たされ、この先も敦史とずっと繋がっていられると信じていた。
嵐の前の静けさを、平和なまでに過ごしていたんだ……。
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