11.彼の闇

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 その物音は、アパートから聞こえた。  ―ガッシャーン!!―  アパートの他の部屋からも、人が出てきて、敦史の家の方を見ている――  私は敦史の家のインターフォンを押して、ドアノブに手を掛けると、ドアが開いた。  中は、家具が倒され、物という物が飛び散っていた。  お母さんの部屋で、敦史がいたるものを投げつけ、部屋の中央で敦史のお母さんが、頭を抱えて、小さく丸まっていた。 「敦史!!」  部屋に入り敦史の体に抱きつく。 「ああー!」  興奮している敦史は私を振り払い、目の前の鏡台を押し倒した。
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