11.彼の闇

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「敦史、やめて!」 「ニィ!」  玄関から洋史君が現れて、二人を引き離すと、お母さんが床に倒れ伏し激しく咳込む。 「何やってんだよ! 隣のおばちゃんが慌てて知らせてくれたよ。他の奴がサツに電話して、今から来るってよ」  敦史は止まったまま冷たい顔をしていた。 「ーー洋史、加世連れてって」 「分かった」 「私は、敦史と一緒に――」 「帰れ」 「でも!」 「ウチの問題だよ」 「加世さん行きましょう、早く」  私は洋史君に引っ張られ、敦史の家を出た。
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