11.彼の闇

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 その晩、部屋に閉じこもっていると、洋史君から着信があった。  洋史君が話すには、敦史の150万円を、お母さんが交際相手の男性に渡した直後から男性と連絡がつかないと言う。  警察は初め、家庭内暴力で話しを聞いたが、詐欺に切り替えて、遅くまでお母さんから事情を聞いたらしい。 「敦史は?」 『ニィ……兄貴は、落ちついたら加世さんに連絡するって言ってました』 「今どこに居るの?」 『……分かりません』 「お願い、教えて!」 『本当に分からないんです。昼過ぎに家帰って、それから行方知れずで…』  洋史君の電話を切り、敦史に電話をかけるーーと、すぐに留守番電話に繋がってしまった。 『今どこに居るの? カヨ』  送ったメールにも、返信は無かった…
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