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翌日も、学校が終わってから敦史の家へ片付けに行く。その次の日も、片付けをしていると、夕方5時過ぎに敦史のお母さんが現れた。
「あら……」
「あ、こんにちは。……済みません、勝手にあがってしまって」
「片付けてくれてるの?」
「……」
敦史のお母さんは、自分の部屋へ向かって、まだ散らばっている部屋の中から、服を数着手に取って袋に入れた。
「ここじゃ眠れないじゃない? だからずっと、お店に泊まらせてもらってるの。今日は着替えを取りにきただけだから」
「あの……敦史から連絡は?」
「アナタにないの?」
「はい」
「そーう。フフ、それなら、私にもないはずね」
お母さんはあっけらかんとし過ぎているように見えた。
「これからお店なの。お好きなだけ居てね」
お母さんは、靴も数足袋に入れると出て行った。取り残された私は、奇妙な違和感を感じながら、自分で決めた午後7時まで、片づけを続けた。
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