11.彼の闇

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 そこには、紛れもなく敦史がいた。私は喜び、敦史の元へ――だけど、視界から、ゆっくりと敦史が消えていく。 「加世!」  敦史の声だ……。 「あつし……」  私の視界は、真っ暗な闇に包まれた――。  目を覚ました時、私は病院のベットの上にいた。 「よかったぁ」  寄り添っていた母親が、涙をながす。 「わたし……」 「倒れたのよ。睡眠不足と栄養失調ですって」  私の腕には点滴が刺されていた。 「ここは……」 「同級生が連れてきてくれたのよ。薄井くんって言ってたわ」  敦史だ。本当に帰ってきたんだ。 「彼は?」 「もう帰ったわ。あなたの事、本当に心配していたの。後で連絡してあげなさい」  涙が出そうだ……たまらなく、敦史に会いたい。
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