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そこには、紛れもなく敦史がいた。私は喜び、敦史の元へ――だけど、視界から、ゆっくりと敦史が消えていく。
「加世!」
敦史の声だ……。
「あつし……」
私の視界は、真っ暗な闇に包まれた――。
目を覚ました時、私は病院のベットの上にいた。
「よかったぁ」
寄り添っていた母親が、涙をながす。
「わたし……」
「倒れたのよ。睡眠不足と栄養失調ですって」
私の腕には点滴が刺されていた。
「ここは……」
「同級生が連れてきてくれたのよ。薄井くんって言ってたわ」
敦史だ。本当に帰ってきたんだ。
「彼は?」
「もう帰ったわ。あなたの事、本当に心配していたの。後で連絡してあげなさい」
涙が出そうだ……たまらなく、敦史に会いたい。
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