11.彼の闇

22/30
前へ
/399ページ
次へ
 その後、自分のベットの上で目を覚ました。外が明るい。時計に目をやると、午後2時だった。 夢? ――朦朧としている頭が冴えていくのと同時に、私の目から涙があふれ出す。  目を閉じた瞬間に敦史のお母さんの言葉が蘇る―― 『敦史の子をおろしたこともあるのよ』  身震いし、吐き気に襲われて枕に咳き込んだ――  そうしている内に、敦史の姿が思い浮かぶ……あの気力を失くして立ち尽くす敦史の姿を……。 「加世子」  部屋のドアが開いて、お母さんが入ってきた。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

390人が本棚に入れています
本棚に追加