11.彼の闇

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 私は涙を隠すように、布団を被る。 「気分は? 大丈夫?」 「うん…」 「後で食べなさい」  サイドテーブルにおかゆと飲み物を運んでくれた。 「この間の男の子――薄井くんが、タクシーで連れてきてくれたの。彼、ずっと謝っていたわ。もうあなたには会わないって」  布団で顔を覆うと涙が溢れ出す――。 「加世子は、彼のことが好きなの?」  布団の中で涙声で頷く。 「そう……加世子が好きになった子なら、きっと素敵ないい子ね」  お母さんは静かに部屋を出て行った。 『私、過去の敦史がどんなだろうと気にしないよ。 私が知ってる目の前に居る敦史が好きだから』  前に美咲にそう言った――心からそう思ったんだ。それが、私の本心だった。
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