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「加世さん、痩せましたね」
洋史君の言葉に苦笑するしか出来なかった。敦史が最初に消えた日から半月、体重は3キロ落ちていた。
「最初――警察から帰って居なくなった時は、携帯も留守電だったけど繋がって、兄貴から東京に居るって連絡があったんです。でも、今は携帯を変えちまったのか、全く繋がらなくて――」
洋史君は唇を噛む。
「あの女がニィの金を盗んで男に貢いだりしたから! 今まで俺たちはずっと、あの女には振り回されっぱなしなんだよ!!」
怒りから語尾を荒げたけど、隣の私を見て謝るように小さく頷いた。
「あの女は男が居る間は殆ど、帰ってもこないし、平和で――でも、男が切れて、酒飲みだすと最悪なんです……」
敦史も同じような事を言っていた……あの日も、ひどいお酒の臭いがしていた。
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