11.彼の闇

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「一、二年前は平和だったんだ。家庭訪問に来た、ニィの担任をあの女がうまい事引っ掛けてから、 ニィも落ち着いたっていうか……」 「……」 「中学時代の兄貴は、めちゃくちゃだったんです。 でも、それは全部あの女のせいで……」 「……」 「兄貴、加世さんと付き合いだしてからは、ビックリするくらい変わったんです。一途に、何だか幸せそうで……だから、ニィのこと、信じて待っていてください」  洋史君の話に胸が熱くなって泣きそうになる。 「今、敦史が連絡を断っているのは、知られたくない秘密を、私が知ってしまったから……」  洋史君がぼんやりと私の顔を見つめる。 「それって……あの女とのこと?……」
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