12.別離

5/27
前へ
/399ページ
次へ
 立ち止まった敦史は、暫く動かず、ゆっくりと、振り向いた。私の目から涙がこぼれ落ちる。 「どこに……行ってたの? 凄く心配――」 「もう終わりにしよう」 「!」  声も表情も冷たい敦史に、私は首を横に振る。 「ヤダよ……」 「無理だから」 「ヤダ!」  敦史は下を向き眉間に皺を寄せると、睨み付けるように顔を上げた。 「分かってんのお前? 実の母親とやってたんだぜ」  そのキツイ眼差しに、目を逸らす。 「分かったから……」 「何も分かっちゃいねーよ!」
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

390人が本棚に入れています
本棚に追加