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いつの間にか眠ってしまった私は、チェックアウトを知らせるコールで目を覚ました。
部屋に敦史の姿はない――点滅する携帯に敦史からのメールが届いていた。
『別れよう
もう、関わらないでほしい』
立ち尽くしたまま、ストラップのない携帯の文面をただただ見つめながら、別れの現実に酷い疲労感に襲われていた。
ホテルを一人で出ると雨が降っていた。周りに傘の屋根が出来る中を、ただ呆然と歩いていく。
誰かに支えて欲しかった――寄りかかりたかった。『誰か』の答えは、たった一人なのに、私は心も体も拠り所を無くしてしまった。
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