12.別離

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 陽介さんが家まで送ってくれる車中で、 「明日、向こうの家へ挨拶に行く為にこの街に来たんだ」  と話してくれた。そして、家の前の公園に着いて車を止めると、 「会社用とプライベート用」  と言って、名刺を2枚渡された。 「こんな風に加世子ちゃんに会ったのも、縁あってのことだろうし――今日みたいに、どうしようもなく吐き出したくなったら連絡しておいでよ」  渡された名刺に視線を落として少し戸惑う……これから結婚する人に頼るなんて……。 「話し聞くだけなら、浮気にはならないだろうし」  私の心を見透かすように陽介さんは微笑んだ。
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