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私は名刺を手にしたまま、車を降りる。
「ありがとうございました」
「最後だから本音吐かせてよ」
陽介さんは、全開にした窓に腕を乗せた。
「いっぱい恋して、もっと色んな男見な。せっかくフリーになったんだから」
「……」
「加世子ちゃんに合う男、他にも絶対居るから」
「……」
「今はまだキツイかもしれないけど、時が解決してくれる、ってアレ、本当だから」
「……」
「――って、言うことありすぎ?」
照れたように笑った陽介さんに、つられて笑うーー少しでも、笑う事が出来たのが嬉しい。
すると、陽介さんが笑みを消した。
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