12.別離

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 私は名刺を手にしたまま、車を降りる。 「ありがとうございました」 「最後だから本音吐かせてよ」  陽介さんは、全開にした窓に腕を乗せた。 「いっぱい恋して、もっと色んな男見な。せっかくフリーになったんだから」 「……」 「加世子ちゃんに合う男、他にも絶対居るから」 「……」 「今はまだキツイかもしれないけど、時が解決してくれる、ってアレ、本当だから」 「……」 「――って、言うことありすぎ?」  照れたように笑った陽介さんに、つられて笑うーー少しでも、笑う事が出来たのが嬉しい。  すると、陽介さんが笑みを消した。
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