12.別離

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 その言葉に従うしかなかった……戻ろうと、階段の手すりに手を掛けたとき――ポケットの携帯が鳴った。 ーー美咲からの着信  出ようとしたら切れて、開くと、美咲からの着信2件と、留守録も入っていた。  留守録を聞こうと携帯を持つ角度を変えた時ーー 「あっ!」  携帯電話が手からすべって用水路の水の中へと落ちてしまった!  急いで、すくい上げたけど、携帯の電源は入らず、画面は暗いまま……。  帰宅後、美咲のお母さんに事情を話して、番号を聞いて自宅の電話から掛けたけど、何度掛けても繋がらなかった。 『用があるなら、きっとまたかけてくるだろう』  私は新しい携帯に美咲の番号を登録した。  もし留守電を聞いて美咲にすぐに連絡していたなら、きっと何かが違ったはず……。  その日の暗雲は、美咲が住む東京の空も覆いつくし、春の嵐をもたらしていたんだ――。
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