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入学式を終え、キャンパス内を歩いている時だった――
「あれぇ――?」
見覚えのある女の子が満面の笑みで近づいてきた。
「やっぱりぃ! 敦史の彼女だぁ」
女の子らしい巻き髪に、色白でぱっちりした目の女の子――アオイさんだった。
「ーーど、どうして?」
「私? ここの学生だもん」
「ーー!」
「私ね、遺伝かもしれないけど、結構頭いいんだよ」
アオイさんはあっけらかんと笑うと、あらたまった様に前で手を組んで頭を下げた。
「水沢アオイです」
「ま、真中、加世子です」
「そっか、敦史も『カヨ』って呼んでたもんね、可愛い名前だね」
「……アオイちゃんこそ」
「やっぱり? よく言われるんだぁ」
「……」
「私が付き合ってた子たち、おバカな子ばっかでねー、誰もこの大学に来てないの~、寂しいんだぁ。だからカヨちゃん、仲良くしよーう!」
このペースに乗せられたまま、大学生活を送ることになるなんて、思ってもみなかった……。
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