13.大学時代

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「美咲?」 『……加世?』 「うん、久しぶりーー今、大丈夫?」 『仕事中だけど――ちょっとなら……』  久しぶりに聞く美咲の声に、心が躍る。美咲は場所を移動した様だった。 「3月に電話くれたみたいなのに、連絡できなくてゴメンネ。携帯、水に落としちゃって――何だった?」 『ああ……ううん、大したことじゃなくて。――加世は今大学生?』 「うん。美咲は、仕事頑張ってるみたいだね」 『うん、まぁね』  その後、少しの沈黙――共通の話題が見つからない。だからかもしれないけど…… 「私ね、敦史と別れたんだ……」 『そう……』 「今、敦史ね、女の人と暮らしてるんだって」  誰かに聞いてほしくて思わず口にした。
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