13.大学時代

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『ねぇ加世……忘れた方がいいんじゃない?』 「え……」 『私も、陽ちゃんのこと忘れたもん』 「あ……聞いた? 結婚のこと」 『加世も知ってたんだ』 「偶然、陽介さんに会って……」  美咲がため息をつく。 『私も、もう他に居るの。ーー加世も過去に生きていないで、前を向いた方がいいんじゃない?』 「……」  その時、電話の向こうで美咲の名前を呼ぶ声。 『じゃあ、私仕事だから』 「うん」  電話は切れた。  敦史も美咲も陽介さんも、みんな新しい道を進んでいる。私ひとり、過去を生きているみたい……ひどい脱力感におそわれていた。
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