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「応援させてもらってもいいかな」
私の言葉に、顔を上げた由実ちゃんの目からは涙がこぼれた。知れば知るほど、由実ちゃんはとてもいい子だったから、佐藤君とうまくいけばいいなぁと、心から思った。
ある日の帰り、正門前で佐藤君に呼び止められる。
「あのさ……俺、由実ちゃんと付き合うことにしたよ」
「ほんと? おめでとう!」
「ああ……」
佐藤君は少し考えるようにして顔を上げる。
「俺、今でも真中が好きだよ」
「――」
「でも、由実ちゃんと付き合って彼女のいい所見つけてったら、真中への気持ちも、自然と思い出になっていくんじゃないかって――そう思ってる」
「――うん」
「だから真中も、前に進んでみろよ」
「……」
「俺、応援してるからさ」
佐藤君はいつものように、優しく微笑んだ。
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