13.大学時代

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「お待たせ。歓迎会、別の日にしてもらってきた」  陽介さんは爽やかに笑うと、三角形のテーブルの一辺に座る。 「早いけど、始めちゃおうか。好きなの頼んでいいよ」 「飲んでいいですかぁ?」  アオイちゃんが、甘えるように聞くと、陽介さんは、ハッとして私を見る。 「そうか、もう飲める年になったんだ」 「21でーす。カヨちゃんはまだハタチだけどね」 「へぇ、大人になったんだね」  陽介さんが微笑む。 「陽介さんはおいくつなんですかぁ?」 「今年29」 「へぇ、大人の男性ってカンジで、素敵」 「もう親父だよ」  私が眺めているメニュー表を、陽介さんが取りあげて閉じる。 「飲めるようになった加世子ちゃんに、飲んでほしいのがあるんだ」
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