13.大学時代

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「『好きこそ物の上手なれ』じゃないけど、加世子ちゃん合うんじゃない?」  3年生になって、就職先を真剣に考える時期になっていたけど、出版社――考えてみたこともない。 「東京都千代田区……」 「うちの本社の近くだね」 「でも、こんな大手……私には無理ですよ」 「最初から無理って思っちゃ、可能性つぶすだけだよ。若いうちはね、『情熱』と、あとは『当たって砕けろ』の精神も必要だよ」  その日、陽介さんと話したことで、編集者になる夢が根差した。  陽介さんのアドバイスで、色々勉強したり、興味も膨らんでいった。 でも、仕事内容と同じくらい『東京』という場所が、私の決意を固いものにした。  陽介さんも3ヶ月経てば戻る東京。 美咲もいる。 そして、敦史も――。
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